野外料理~燻製(くんせい)

     

燻製とは
 燻製(くんせい)は食材を煙でいぶすこと(燻煙)で保存性を高めて特有の風味を加わった保存食で、その調理法をスモークsmokeともいう。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)より
肉、魚、卵などの生食材の下処理として塩づけや、ピックル液などに漬け込んで下味をつけ乾燥させてから燻煙する。長時間いぶす(燻す)ことにより煙中の殺菌・防腐成分が食材に浸透して水分が減少して保存性が高まり、独特の風味が加わる。けれど冷蔵、冷凍保存や真空包装技術の発達した現代では燻製での保存目的の必要性は少なくなってきたが、日本の伝統燻製品「かつお節」は常温で半永久的に使えるのがすごい。
 樹木材のチップを意図的に不完全燃焼させて煙を出るようにすると、煙分子のホルムアルデヒドやフェノールが発生して食品の表面にあるタンパク質と反応・変性して微生物が死滅するため食べ物が腐りにくくなる。またアルデヒドがタンパク質と結合して強い皮膜を作り雑菌の侵入を妨げる。さらに長時間の乾燥で水分量が減り、微生物の繁殖による腐食を防ぐ効果がある


燻製の種類
燻製づくりには大きく分けてⅴつ3つの方法があります。
●熱燻:80~100度の高温で10~60分程の燻煙で出来る即席の燻製。けれど食品の水分は多く残っているので保存には向かない。が早く調理出来て、温かいうちはジューシーで美味。ゆで卵は2~3日で水分が出て表面がヌルヌルになるので注意。

●温燻:50~80度にて2~3時間以上一晩くらい燻す。最も一般的な燻製づくり方法。熱燻よりも水分も50%くらいは減りますが保存はもって1週間程度。キャンプでの燻製にはちょうどいい。

●冷燻:15~30度の低温にて1~4週間ほど長時間にわたって煙を冷やして燻煙するので寒い地域で冬場に長期にしなければならないので設備と温度を管理する技術が求められる。燻煙と風乾を繰り返して水分を抜いていく。

左の袋入がチップ、右の棒状がウッドです。主にチップは熱薫、ウッドは温薫の使用になります。熱薫は短時間で色づきもいいのでお薦めです。けれど高温になるのでチーズや薄切肉は温度と時間に要注意です。樹種がヒッコリー(クルミ科)、さくら、りんご等いろいろあり食材や好みで選んでいます。
ウッドは一度火を点けたらそれ自体がゆっくり煙を出していくのでガスや炭火は不要です。熱薫より低温なのでチ―ズなど溶かして失敗することはないのですが、出来上がりに時間がかかります。また途中で火が消えることがあるので時々の確認が必要です。
熱燻:チップを金皿またはアルミ皿にひと握り置き、燻製器の底面に入れます。カセットコンロまたは電熱器の上に燻製器を置いて熱します。煙が出始めたら80~100℃で温度管理します。

温薫:最も一般的で30~60度のウッドでを親指大に3~4個割り、アルミ皿に乗せて着火剤かバーナーで火をつけて点いたら火を消す。後は煙がゆっくりといぶしていきます。
メーカー販売の温度計にて火力調整をします。
ゆで卵は熱薫15分くらい、魚は開きか、切り身で20分くらい。シシャモやベーコン(薄切り)は10分くらいですが温度が高いと焦げたりするので途中で確認を。チーズは熱薫だと溶けやすいので温薫が無難ですが40分くらいかかります。
  
 
     燻製器
一斗缶 型   横からの出し入れ 岡持ち型   前から出し入れ 
       
円筒鏡開き型 ④ナベ型、右は1人用  ⑤中華鍋型 ⑥温度計 
   
 
 
①食品用の一斗缶を横にしてドリルで穴をあけて、ステンレス棒を通して網を2段にします。蓋を開けての網の出し入れが少し手間ですが安く出来ます。熱薫使用だと数年使うと火が当たる箇所に穴が空きます。
⓶SOTO製いぶし処、価格は高いのですが食材の入れ替えが簡単で使い勝手がよいのでお気に入り。網は3段。
⓷コールマン製、蓋の開け閉めが少し面倒だがチップの追加口が引き出せるのが良いです。
④鍋型大小右は1人用で室内でも使用可。
⑤中華鍋型 扱いやすく効率よく燻煙できるので色づきが早い。食材が多いと不向き。
⑥温度計は必需です。裏に軸棒がついていて燻製器の穴に差し込むだけ。